杉並区立中央図書館全面改修
Renovation of Suginami City Central Library
※写真・文章等の転載はご遠慮ください。
地域とつながる街のコミュニティスペース 静寂さを好む館内と違う適度な暗騒音のある「憩いの場」を生み出した。
櫻井 成行、豊島 裕樹（日総建）
電子媒体時代の図書館は、Wi-Fiの届く範囲である。その領域に内も外もない。内部は涼/温の優しい床輻射冷暖房と「ゆるやかな弧」が連続するライトシェードに光を造形して、ラグジュアリーな空間を生み出した。外部は既存樹木林と地形を生かしてデッキを小さなスロープでつなぎ、この木陰のある空間を「本の広場」と呼んだ。街のリビングでもあるこれらの「空間」は、これからも現代を生きる人々の「時」に寄り添い続けることだろう。
Shigeyuki Sakurai, Toyoshima Yuki (Nissoken)
Libraries in the digital age are wherever Wi-Fi can be found. There is no more inside or outside. That is why we created a luxurious space indoors with gentle radiant floor heating and cooling and light shades with continuous gentle arcs that give shape to light. Outside, we utilized the existing trees and topography, linking decks with small slopes to form a shaded space we call the Book Square. Going forward, these living rooms of the city will continue as spaces alongside and in tune with the people of the community.
1階総合案内、ロビー 一般開架エリア全域に円弧状の天井面を連続させている。
1階一般書エリア ライトシェードと書架照明付き免震書架（国内初）
「本の広場」全景 鬱蒼とした既存樹木林に間伐を行い、埋もれていたファサードが図書館の新たな顔として現れた。
「本の広場」空撮
配置平面図
空調を天井吹き出しから床輻射冷暖房方式へ改修した。
Architect
櫻井 成行
(日総建)1968年大阪府生まれ／1992年日本大学理工学部建築学科卒業／1994年同大学院理工学研究科博士前期課程建築学専攻修了／1995年日総建入社／現在，同社トップアーキテクト
豊島 裕樹
(日総建)1980年新潟県生まれ／2003年日本大学理工学部建築学科卒業／2007年日総建入社／現在，同社設計監理部主幹／
DATA
名称：杉並区立中央図書館全面改修
所在地：東京都杉並区荻窪3-40-23
主要用途：図書館
建築主：杉並区
●設計
設計者：櫻井成行、豊島裕樹
建築：櫻井成行（総括）、豊島裕樹、西川裕紀※、加藤吉男※、飯島ひかる※、菅野英一※／日総建
構造：直井瑞樹※／日総建
電気：小林浩一／日総建、瀧ヶ崎達也、船柳 謙太／総合設備コンサルタント
機械：中本博／日総建、吉田雅之／総合設備コンサルタント
ランドスケープ：戸田知佐、田下祐多、鯨岡栞※／オンサイト計画設計事務所
建築音響：箱崎文子／永田音響設計
監理：櫻井成行、秋山一彦、小原正也、田邉雄太、依田道夫、難波勝司、大野智佳、田中真琴／日総建、
戸田知佐、田下祐多／オンサイト計画設計事務所、箱崎文子／永田音響設計 (※元所員)
●施工
建築：興建社・矢島建設共同企業体
電気：栄新・東九建設共同企業体
空調：吉田・田中建設共同企業体
衛生：吉田設備工業
昇降機：日本エレベーター製造
●面積
敷地面積：5,105.39m2
建築面積：1,886.69m2
延床面積：4,605.78m2
建ぺい率 36.95％（許容60％）
容積率 86.19％（許容180％）
階数 地下1階 地上2階
●高さ
最高の高さ：10.23m
軒高さ：9.4m
●構造 鉄筋コンクリート造
●期間
設計期間：2018年5月〜2019年3月
施工期間：2019年6月〜2020年6月
●掲載雑誌
「新建築」2021年3月号