正和幼稚園の建て替えと
6つの小規模保育施設整備によるネットワーク
Network of Seiwa Kindergarten and 6 small childcare facilities
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中佐 昭夫(ナフ・アーキテクトアンドデザイン)
1960年代末に造られたマンモス団地の一角にある老朽化した幼稚園の建て替えにおいて、団地の少子高齢化が進む中、一番の命題は「いかに団地外と関係づけられるか」だった。町田街道側にある今の園庭に新園舎をつくり、竣工後に奥側にある旧園舎を解体して、そこに新園庭をつくった。園庭と園舎の配置を逆転させることで、アクセス方向も団地内外を逆転させる考え方だ。この建て替えと並行して、町田駅周辺に6つの小規模保育施設を数年かけて整備した。そこに預けられた園児たちは、送迎バスで正和幼稚園を行き来している。
待機児童数が多く人口が集中している市街地には、そもそも新しく保育園を建てる余裕のある土地が確保できないという問題がある。一方で0〜2歳児が入所する小規模保育所は、原則3歳になると転園せざるを得ない。そんな問題を解決するため、「まずは駅前の0〜2歳児を対象とした小規模保育所に通い、3歳になって安全にバスに乗れるようになったら緑豊かな正和幼稚園に行ける」という送迎ネットワークを構築し、居住地を問わず様々な家庭に豊かな保育環境を提供しようと試みている。建て替えは、このネットワーク構築とセットで進められた。
Akio Nakasa (naf architect & design Inc.)
A reconstruction plan for a kindergarten in Mammoth Housing Complex in the suburbs of Tokyo built about 50 years ago.
With the number of children in the housing complex decreasing, the proposition was "how to connect with people outside the housing complex."
At the same time, six small childcare facilities were built around Machida Station over several years.
The kindergarteners left there can go back and forth between the kindergartens by a shuttle bus.
The rebuilding was carried out together with this network construction.
Architect
中佐 昭夫
(ナフ・アーキテクトアンドデザイン)1971年広島県生まれ/早稲田大学理工学研究科修士課程修了後、山本理顕設計工場/2001年ナフ・アーキテクトアンドデザイン共同設立/明治大学理工学部建築学科兼任講師/グッドデザイン賞、日本建築学会作品選集、Dedalo Minosse Cultural Locations and Public Works他
DATA
名称:正和幼稚園の建て替えと6つの小規模保育施設整備によるネットワーク
(以下、計画の主軸である正和幼稚園の情報を記載)
所在地:東京都町田市山崎町2261-1
主要用途:幼稚園+保育園(認定こども園)
建築主:齋藤祐善/正和学園理事長
●設計
設計者:中佐昭夫
建築:中佐昭夫、須田牧子/ナフ・アーキテクトアンドデザイン
構造:名和研二、荒木康佑/NAWAKENJI-M
設備:浅野光、池田匠/設備計画
サイン・カーテンデザイン:有田昌史
園庭の自然づくり:筒井英雄
音環境:上野佳奈子
監理:中佐昭夫、須田牧子/ナフ・アーキテクトアンドデザイン
●施工
建築:三ノ輪建設
空調・衛生:川本工業
電気:玉川電器
●面積
敷地面積:3389.74m2
建築面積:973.11m2
延床面積:997.7m2
建ぺい率 28.70%
容積率 29.43%
階層 地上2階
●高さ
最高高さ:9.488m
軒高さ:7.869m
●構造 鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造および補強コンクリートブロック造
●期間
設計期間:2015年11月〜2018年3月
施工期間:2018年3月〜2019年7月
●掲載雑誌 『Architecture and Culture』 2020/NOV号 A&C Publishing『KINDERGARTEN ARCHITECTURE』 2020/8月出版 Booq Publishing