日本建築家協会建築年鑑

JIA優秀建築選 2022

JIA日本建築大賞・JIA優秀建築賞

日本建築家協会優秀建築選 100作品

正和幼稚園の建て替えと
6つの小規模保育施設整備によるネットワーク

Network of Seiwa Kindergarten and 6 small childcare facilities

※写真・文章等の転載はご遠慮ください。

エントランス外観

撮影:矢野紀行

中佐 昭夫(ナフ・アーキテクトアンドデザイン)

1960年代末に造られたマンモス団地の一角にある老朽化した幼稚園の建て替えにおいて、団地の少子高齢化が進む中、一番の命題は「いかに団地外と関係づけられるか」だった。町田街道側にある今の園庭に新園舎をつくり、竣工後に奥側にある旧園舎を解体して、そこに新園庭をつくった。園庭と園舎の配置を逆転させることで、アクセス方向も団地内外を逆転させる考え方だ。この建て替えと並行して、町田駅周辺に6つの小規模保育施設を数年かけて整備した。そこに預けられた園児たちは、送迎バスで正和幼稚園を行き来している。

待機児童数が多く人口が集中している市街地には、そもそも新しく保育園を建てる余裕のある土地が確保できないという問題がある。一方で0〜2歳児が入所する小規模保育所は、原則3歳になると転園せざるを得ない。そんな問題を解決するため、「まずは駅前の0〜2歳児を対象とした小規模保育所に通い、3歳になって安全にバスに乗れるようになったら緑豊かな正和幼稚園に行ける」という送迎ネットワークを構築し、居住地を問わず様々な家庭に豊かな保育環境を提供しようと試みている。建て替えは、このネットワーク構築とセットで進められた。

Akio Nakasa (naf architect & design Inc.)

A reconstruction plan for a kindergarten in Mammoth Housing Complex in the suburbs of Tokyo built about 50 years ago.
With the number of children in the housing complex decreasing, the proposition was "how to connect with people outside the housing complex."

At the same time, six small childcare facilities were built around Machida Station over several years.
The kindergarteners left there can go back and forth between the kindergartens by a shuttle bus.
The rebuilding was carried out together with this network construction.