新島の森
FOREST OF NIIJIMA
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手塚 貴晴、手塚 由比、矢部 啓嗣(手塚建築研究所)
大野 博史(オーノJAPAN)
光が溢れている。会堂は透彫に覆われている。描かれているのは新島の森である。江戸末期、米国に渡った新島襄が日本へと帰り故郷安中の地に撒いた種が芽吹き、森として育ったのが現在の新島学園である。描かれている森は現世に存在しない。創世記にあるエデンを想い、深い森から明るい光が立ち込める野原へと向かう情景を描いた。この森はこの世のどこにも存在しない。森は東西に深く暗く、南に向けて明るく開けている。脳裏に映った情景を六ヶ月かけて描き出した。装飾とは人類の叡智の叫びを伝える初元的な衝動である。空間と光だけが建築ではない。このプロジェクトは1世紀を超えるモダニズム支配からの脱却の試みである。空間はフィレンデール木構造に包まれている。側廊に囲まれた奥行きのある空間構成である。フィレンデールにはランダムに火打ちが配置されている。応力を一部に集中させず、全体に柔らかく対抗するメッシュ構造である。
Takaharu Tezuka, Yui Tezuka, Keiji Yabe (TEZUKA ARCHITECTS)
Hirofumi Ohno (OHNO JAPAN)
The light is overflowing. The auditorium is covered with fretwork screens. The forest of Niijima is drawn on the screens. In the late Edo period, Joe Niijima travelled to United States illegally in order to studied Christianity. This led to the starting of a church in Annaka when he returned to Japan. Thereafter, Joe Niijima founded Doshisha when he travelled to Western Japan. After 70 years, these institutions ,which can be referred as the seeds down by Joe Niijima, grew up as a forest at Niijima School. Niijima Junior College is the youngest forest grown from the seeds. Drawing inspirations from the Garden of Eden, I drew a scene which extends from a deep dark forest to a brightly lit vast field. This forest does not exist anywhere in the world. It is a forest that is deep and dark that spans from the east to west and opens up to the brightly lit south.
The desire towards ornamentation is an impulse to showcase the innate human wisdom. Space and light are not the only architecture. This project is an attempt to break away from modernist rule for more than a century.
Architect
手塚 貴晴
(手塚建築研究所)1964年東京都生まれ/1987年武蔵工業大学卒業/1990年ペンシルバニア大学大学院修了/1990-1994年リチャード・ロジャース・パートナーシップ・ロンドン勤務/1994年手塚由比と手塚建築研究所を共同設立/2005~06年ザルツブルグ・サマーアカデミー教授/2006年UCバークレー客員教授/2009年東京都市大学教授
手塚 由比
(手塚建築研究所)1969年神奈川県生まれ/1992年武蔵工業大学工学部建築学科卒業/1992~93ロンドン大学バートレット校(ロン・ヘロンに師事)/1994年手塚貴晴と手塚建築研究所を共同設立/2006年ザルツブルグ・サマーアカデミー教授/2006年UCバークレー客員教授
矢部 啓嗣
(手塚建築研究所)1986年岐阜県生まれ/2010年東京理科大学工学部建築学科卒業/2012年武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程修了/2012年~手塚建築研究所/2020年~同パートナー
大野 博史
(オーノJAPAN)DATA
名称 新島の森
所在地 群馬県高崎市
主要用途 短期大学
建築主 学校法人新島学園
設計─────────────────
建築・監理 手塚建築研究所
担当/手塚貴晴 手塚由比 矢部啓嗣
構造 オーノJAPAN
担当/大野博史 中野勝仁
照明 ぼんぼり光環境計画
担当/角舘まさひで 竹内俊雄
機械設備 設備計画
担当/渡辺忍 福井綾
電気設備 銀山建築設備設計
担当/銀山茂行 高橋喜一
音響 永田音響設計
担当/箱崎文子
施工─────────────────
建築 佐藤産業
担当/金勇 吉野光男
空調・衛生 細谷工業
担当/高橋司
電気 湯井電気
担当/島﨑政幸
木構造・木製スクリーン 中東
担当/宮越久志 上口直志 元谷貴行
面積─────────────────
敷地面積 14591.80m2
建築面積 392.21m2
延床面積 784.42m2
建蔽率 37.31%(許容:60%)
容積率 70.88%(許容:200%)
階数 地上2階
高さ─────────────────
最高高 12500mm
軒高 12210mm
構造─────────────────
主体構造 木造 一部RC造
期間─────────────────
設計期間 2017年12月〜2019年3月
施工期間 2019年8月〜2020年3月
掲載誌────────────────
「新建築」2021年11月号